金曜日の夜7時。「ごっつい新橋店」の扉を開けると、店内は笑顔でお好み焼を頬張る仕事帰りのサラリーマンやカップル、女子会と思われる女性たちで大賑わい。そこに店員さんの元気な「いらっしゃいませ!」の声が響く。案内されたテーブルに着くと、「お疲れさまでした」の声と一緒におしぼりを手渡された。何気ない一言だけど、やっぱりうれしい。「ごっつい」には、そんな思わずうれしくなるサプライズがあふれている。
「お好み焼がおいしいだけじゃなく、来たときよりもハッピーな気持ちになれる、元気になれる、そんなお店にしたかったんです」と答えてくれたのは、お好み焼アンバサダーの肩書きを持つ伊原純子CEO。
「たとえば、“おこアート※”。ごっついでは、お好み焼にイラストやメッセージを書いてお客さまにご提供しています。おいしいのはもちろん、そこにプラスαのハッピーをお届けしたい。そんな気持ちから“おこアート”が生まれたんです」。
通常の“お疲れさま”や“ナイスカップル!”などのメッセージだけではなく、たとえば「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー~♪」とお客さまが歌っているのが聞こえたらメッセージを“誕生日おめでとうございます!”にすることもあるという。
「こうしたサプライズな感動で、お客さまを幸せな気持ちにしたい。お客さまが幸せな気持ちになれば、それは自然とお店にも連鎖していく。幸せは連鎖していくもの。それが「ごっつい」の経営理念です」。
「長芋をたっぷり使ったふわふわのお好み焼を引き立てるのは、選び抜かれた国産の野菜や果物を使用したオリジナルソースです。濃厚なコクがあって、ちょっぴりスパイシーで、これがビールとの相性抜群! 一杯二杯と言わず、どんどんスーパードライが進んじゃうおいしさですよ。おつまみでは、やっぱり“元祖すじ塩”。企業秘密なので詳しくは言えませんが、最低でも10時間以上煮込んだ手間のかかった逸品です」。
甘じょっぱく煮込まれた牛すじ肉とキャベツを塩で炒めた“元祖すじ塩”は、シンプルながらも奥の深い味わいの名物料理。これもまたスーパードライとの相性が抜群だ。
「その他にも、恵比寿店限定ですが“ごっつい塊肉・牛”もスーパードライにぴったりです。厳選した熟成肉を豪快に塊で焼いてニンニクをたっぷり乗せたもの。ぜひ恵比寿店で味わってください。期間限定ではありますが、牛ヒレ紐肉の一本焼は各店舗でご提供しています。一頭からわずか600gしかとれない希少部位。魚で言えばエンガワにあたる部分です」。
お好み焼のみならず本格的な鉄板焼までラインアップされたごっついメニューでは、なにを食べるか迷ってしまいそう。
「思い出の食事って誰にでもあると思うんですけど、ごっついが目指した味は、子どもの頃、プールの帰りに友達と食べた地元関西のお店の“お好み焼”。元気なおばちゃんが一人でやっていて、カウンターが特等席の、あんなお店です」。
手際よく目の前で焼かれていくお好み焼。ソースが鉄板でジュワ~と焼かれていく音、こうばしい香り。「ごっつい」の特等席もカウンター。ときにはカウンター席から予約が埋まっていくこともあるそう。とくにコテさばきを堪能したいなら、ぜひ“鉄板焼屋のだし巻き玉子”を注文してほしい。鉄板職人がささささっくるくるくるっっと、ふわっふわに焼きあげるだし巻き玉子は、見る価値あり!食べる価値あり!!
「おかげさまで、ごっついが誕生してから20年以上も経ちました。紆余曲折ありましたが、ずっとお客さまに愛されてこられたのは、地元の「お好み焼屋」であり続けているからだと思います。住んでいる街にずっとあって、家族が気兼ねなく来られて。小さな子どもが大きくなったら、また新しい家族と来てくれる。どの街にもある昔ながらの洋食屋さんのような。のれん分けをしているのも長く続けてもらいたいという思いがあるからなんです」。
どこか懐かしい空間で食べるおいしい絶品の“お好み焼”。お父さんはビールと一緒に“元祖すじ塩”、お母さんは“ごっついサラダ”とワイン、子どもたちは“だし巻き玉子”。そしてみんなでお好み焼や焼きそばを分けあって食べた後は、“今川バニラ”で締める。そんな幸せな光景がよく合う「ごっつい」だ。
「味やサービスを追求しながら、お客さまの声をお店に反映する。本当にそのくり返しをしていくだけです。大爆発はないかもしれないけど、お客さまとの絆が一番大事。ときどき、お客さまが旅行のおみやげを持ってきてくれたり、結婚の報告をしてくれたり。本当にそういうのがうれしいんです。これからも一期一会の出会いを大切にして、おいしいお好み焼をご提供したいですね」。